日本人として初めてロンドンでファッションショーを開催し、大成功を収めた直後の山本寛斎の言葉です。
山本寛斎のファッションの原点、それは安土・桃山時代に遡る絢爛豪華な美の世界。あふれるほどにエネルギーを放つ婆娑羅の世界をこよなく愛する山本寛斎。1970年代当時、世界中の若者が憧れるファッションの最先端の地であったイギリス・ロンドンにおいて、日本人として初めてファッションショーを開催しました。ショーの中では歌舞伎の舞台や衣装にヒントを得た演出、作品を披露し、大喝采を浴びたのです。その後、山本寛斎は瞬く間に日本が世界に誇るファッションデザイナーのひとりとして活躍を続けます。
6階展示室(一部)では、世界デビューした1971年から1980年代後半まで、日本が世界に誇るべき美学を伝えるべく、魂をかけて表現してきた彼の代表作品を世界各地から収集、展示します。
左・中央:デヴィッド・ボウイ ステージ衣装(1973)/ 右:KANSAI IN LONDON 凧図案マント(1971)
1)KANSAI IN LONDON ドレス
(1971年/イギリス ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵)
「ベラボー凧(秋田県)」の図案を大胆にアレンジし、デザインにあしらったドレス。
1971年、日本人として初めてロンドンでファッションショーを行った際に発表され、その斬新さで話題をさらいました。
2)デヴィッド・ボウイ ステージ衣装
(1973年/デヴィッド・ボウイ蔵)
1973年、アメリカ進出をかけてニューヨークでコンサートを開催したデヴィッド・ボウイ直々の依頼によりワールドツアーのための衣装を手掛けた山本寛斎。普段はアメリカ・ロックの殿堂に展示されている作品が25年振りに里帰りします。
KANSAI IN LONDON ドレス (1971)
デヴィッド・ボウイ
ステージ衣装 (1973)
3)ジョン・レノン ジャンパー(複製)
4)ドレス 山口小夜子着用
(1983年/パリ・コレクション出品/個人蔵)
「鳳凰」を刺繍であしらったツーピース。
中国の昆明地方に住む山岳民族の衣装をヒントに制作されました。
5)イコン和刺繍ジャケット 山本寛斎着用
(1990-1991年/秋冬パリ・コレクション出品/山本寛斎蔵)
ロシア正教、イコンをモチーフにした繊細な金糸、銀糸の刺繍を背中全面にほどこしたジャケット。
日本有数の群馬県桐生市、横振刺繍ミシンの技が最大限に生かされています。
山本寛斎本人がタキシードジャケットとして着用していたものを展示。
パリコレクション出品ドレス
山口小夜子着用 (1982)
「祭りの時、日本の女たちは艶めいた輝きと、美しさを見せる。そして、男たちは勇ましい姿と荒ぶる熱を発散する。そこには、誇るべき日本の美しさと、人間が輝く瞬間がある。」と山本寛斎は信じています。
マグマのように迸る人間の熱き心=祭りを、KANSAI SUPER SHOW「ハロー!ロシア」(1993年ロシア モスクワ・赤の広場)、「アボルダージュ~接舷攻撃~」(2004年日本武道館)、「太陽の船」(2007年東京ドーム)のために制作された華麗な衣装の数々と映像で表現。山本寛斎の世界~燃える魂、日本の祭り~をご堪能下さい。
1)「ハロー!ロシア」衣装・東北地方背負子ジャケット(1993年)
背負子(しょいこ)からインスパイアされた衣装。日本海沿岸に伝わる古くなった着物を裂いて使うリサイクル技術・裂織(さきおり)でシルクの糸と布を編みこんだジャケットに仕立てました。
2)「アボルダージュ」衣装・着物(2004年)
山本寛斎が着目したのは天然素材で染めた昭和初期のアンティーク着物でした。背丈、手足が長くなった現代女性の体型に合わせるため、日本各地から収集してきた数十着の着物を全てほどき、洗い直したもの2~3着を組み合わせて1着に仕立て直した寛斎流究極のリサイクル着物。
3)「アボルダージュ」衣装・浴衣(2004年)
愛知県名古屋市有松に伝わる伝統の絞り染め。
その歴史は、徳川家康が江戸に幕府を開いてまもない慶長13年(1608年)まで遡ります。尾張藩が有松絞りを藩の特産品として保護し、竹田庄九郎を御用商人に取り立てて以来、400年の歴史を誇る有松絞りの様々な伝統技法を浴衣にあしらい衣装として採用。
4)「太陽の船」衣装・祭り装束(2007年)
江戸時代の終わりに房総半島で生まれた万祝い(まいわい)。
大漁時に船主や網主から関係者に配られた祝い着で、一同が揃いで着て神社仏閣に参拝しました。明治・大正時代をピークに昭和40年代頃まで作られていたこの万祝いと江戸時代に生まれた筒描染め古布を仕立て直した山本寛斎オリジナルの祭り装束。
5)「太陽の船」衣装・半纏(2007年)
漁船の大漁旗を綿入れ半纏に仕立て直し、モトクロスのライダースーツとコーディネイト。
<山本寛斎キーワード> |
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1.SUPER SHOW(スーパーショー) 2.HELLO!RUSSIA(ハロー!ロシア/1993年6月・モスクワ赤の広場) 3.アボルダージュ~接舷攻撃(2004年7月・日本武道館) 4.太陽の船(2007年1月・東京ドーム) |
「ハロー!ロシア」衣装・
東北地方背負子ジャケット(1993)
「アボルダージュ」有松浴衣
山本未來着用 (2004)
「太陽の船」祭り装束/
伊勢谷友介・土屋アンナ着用(2007)
「太陽の船」祭り半纏(2007)