江戸東京博物館は、失われつつある東京の遺産を守ると共に、東京の歴史と文化を振り返ることによって未来と東京を考える場として1993年に開館、2008年には15周年を迎えます。記念すべき開館15周年の企画として、日本の歴史に培われた文化を次の世代に継承するという共通の使命をもつ江戸東京博物館とデザイナー/プロデューサー山本寛斎は、共同で企画展「熱き心展~寛斎元気主義~」を開催する運びとなりました。
帰国後、自問自答を繰り返していたある時、ふと自分自身が生を受け、育ってきた土壌、「日本」という国を振り返ってみれば、まばゆいほどに煌めきを放つ美があふれていることに寛斎は気付いたのです。
そして1971年、イギリス・ロンドンにおいて日本人として初めてのファッションショー“KANSAI IN LONDON”を開催。歌舞伎からインスパイアされたデザイン、演出を大胆に取り入れ、ファッションデザイナーとして一躍世界の舞台に躍り出ました。さらに、1973年にはデヴィッド・ボウイからたっての依頼を受け、ジギー・スターダスト&アラディン・セインツアーのステージ衣装を手掛けることとなったのです。
デビュー以来、ひたむきに日本の美学を追求し、世界屈指の表現者として妥協の一切ない創造に挑んできた山本寛斎。世代を越え、国境を越え、数多くのスターに愛された作品は世界各国の美術館に収蔵されています。
本展覧会は、世界を魅了した作品の数々が初めて一堂に会するという貴重な機会であり、日本の伝統文化を見つめ、日本人が培ってきた美学を探求し、世界の舞台で表現してきた山本寛斎の作品を通して、次の世代へ、日本文化の、日本人の美意識を改めて問いかけ、伝えようとするものです。
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